GEORGES LIGNIER ジョルジュ・リニエ

amz-dom-report2009-01-25


MOREY St.DENISのGEORGES LIGNIERを訪れたのは午前9時。相変わらずの雨雲のせいで、ホテルから北へ薄暗い国道をひたすら走りたどり着いた。出迎えてくれたのはステリー・ブノワ氏。醸造家の中では若い方だが、前回会った一年前より精悍さが増している気がした。挨拶を済ませて、早速テイスティングルームで試飲。


1.MOREY St. DENIS 2007
2007年は全て樽で寝かせているものをこの為にボトルに移して試飲。まだ完全ではないけどと、前置きの上で口にした。タンニンはとても柔らかく、エレガントな品がかなりある。香りも華やかで例えるなら1997年に近いかもしれない。

2.CHAMBOLLE MUSIGNY 2007
甘みたっぷりでタンニンしなやか。洗練された果実味は2007年のスタイルといえる。ジュルジュ・リニエでは低温でゆっくり醗酵させたいのでセラーの温度を下げているそうだ。

3.GEVREY CHAMBERTIN 2007
樹齢50年の葡萄から造られるこのワインは現段階ではややこもったような香りの中に華やかさが見え隠れしている。甘みはシャンボール・ミュジニーの方があるが、濃さ、質感も程よく、完成度は高い。余韻はジュヴレ・シャンベルタンの方が長い。とてもいきいきしているワイン。

4.POMMARD 2007
VOGUEでも感じられたコンフィズリーの香り。フランスではパワフルなイメージのポマールだが、彼のポマールはVolnayに隣接しているので、あるコンクールではポマールらしくない、とても柔らかでエレガントだと評されたそうだ。全てにおいてだが、テロワールに逆らわず、タンニンを柔らかくしなやかにするのが彼のスタイルだ。

5.VOLNAY 1er Cru 2007
ヴォルネイは全体で60haしかない非常に小さい村。またヴォルネイには47ヶ所に1級があるが、彼のVolnayは4ヶ所の区画のブレンドで造られる。区画名は?カレル・ス・ラ・シャペル?ロンスベ?ロバルデル?リューレ。これらの畑は続いているが、道により間隔が50mほどあるらしい。

6.MOREY St. DENIS CLOS DES ORMES 2007
モレ・サン・ドニは1935年に造られたアペラシオンで、それまで北はジュヴレ・シャンベルタン、南部分はシャンボール・ミュジニーだった。歴史的な背景が短い分、知名度は低いが、土壌的には挟まれた2つの村の特性を併せ持つ。ナポレオンも、もしかしたらモレが好きだったのかもしれないと彼は笑う。

7.GEVREY CHAMBERTIN 1er Cru COMBETTES 2007
とても熟した甘みに富んでいて、カシス、フランボワーズの香りと甘みが特徴的。MLFが彼の意図通り、遅く終わったそうで、自然な抽出によって得られた純粋なエキスから造られた彼のワインは近い将来もっと火がつくかもしれない。

8.CLOS St. DENIS 2007
僅か6haの畑を16社が所有している。やや落ち着いた印象の洗練された大人の風格を備えている。コク、複雑味、果実の凝縮感、全体のバランス、その全てがグラン・クリュと名付けられた理由を肌で感じることができる。有名なドメーヌがあるおかげでクロ・ド・ラ・ロシュの方が知名度があるが、クロ・サン・ドニの方がよりモレのスタイルを表現していると彼は言う。クロ・サン・ドニはシャンベルタンのような味わいが如実に現れるそうだ。このテロワールは彼が最も好きなものらしい。

9.CLOS DE LA ROCHE 2007
17haの畑を20社が所有している。クロ・サン・ドニよりタンニンががっしりとしている。

10.CHARMES CHAMBERTIN 2007
非常に柔らかくしなやか。パワフルさとエレガントさのバランスは絶妙で、質感のキメの細かさ、継ぎ目のないしっかりとした構成。もっとスポットライトを浴びても良いぐらい彼のワインは素晴らしい。