J.F.MUGNIER ジャック・フレデリック・ミュニエ

amz-dom-report2009-01-26


10:30 隣の村CHAMBOLLE MUSIGNYへ移動し、この村のトップドメーヌのひとつであるJ.F.MUGNIERへ。
ブルゴーニュではとても珍しいぐらい立派な白亜のシャトーはとても絵になる。
誰が写真を撮っても素晴らしい絵葉書のようになるだろう。
出迎えてくれたのは当主であるフレデリック・ミュニエ氏。
落ち着いた雰囲気と、溢れる知性、物腰の柔らかさは、まさに紳士というにふさわしい。
彼のオフィスで互いの状況について話し合った。



当然ながら、フランスでも経済情勢はかなり厳しい。
また大きな輸出先であるイギリス、アメリカなどの注文キャンセルはある程度、覚悟していたそうだが、幸運にも1件もないそうだ。
むしろ2007年は収量が前年よりも減ったので数が足りないらしい。
一流ドメーヌには不況など関係ないのかもしれない。

外観もさることながら内部もとても清潔で整然とされている。
他のドメーヌにも言える事だが、良いワインを造る所はどこもとてもきれいだ。
普段の環境がワインにも現れるのだろう。
ピカピカに磨かれた大きなステンレスタンクのそばには彼の趣味である大きなグライダーが置いてあった。
以前はパイロットもしていたという異色の経歴を持つ彼は、大空に羽ばたくのはとてもいい息抜きになるんだよと教えてくれた。

カーヴに移り、樽の中で静かに眠る2007年を試飲させてもらった。

1.CHAMBOLLE MUSIGNY 2007
村名でこのクオリティは考えられないほど高い水準にある。
エレガントであり外交的で親しみ易い果実味は口にするだけでこのドメーヌを一生追いかけ続けるだけの動機をしっかりと心に刻んでくれるだろう。
2007年はとても変わった年だったとまるで御伽噺でも始まるかのような惹きつけられる口調で当時を振り返ってくれた。
花がとても早く開花し、猛暑だった2003年よりもさらに10日も早かった。
2003年の再来かと思ったそうだが、5月頃から気温が例年に比べ、下がり始めて、雨が降り始めたが、その後は晴れがずっと続いたりと過去にあまり例がない天候だった。
ただ収穫の10日前からは、とてもいい天気が続いたおかげで、十分過ぎるぐらいの糖度が得られ、満足できる葡萄が採れたそうだ。
収穫は9月3日から始められた。

2.CHAMBOLLE MUSIGNY 1er Cru LES FUEES 2007
村名よりもさらに濃さのある味わいで甘さと厚みもより高いレベルにある。とても緻密な構成。
栽培はリュット・レゾネで行っている。彼の畑では微生物の活動が活発でビオロジックと非常に似ているそうだ。ただボルドー液を多用するビオが100%を満たしていると彼は考えていない。


3.BONNE MARES 2007
僅か6樽弱、1500本のワインに出会うこと自体が奇跡と言える。味わいも現代の奇跡と言っても過言ではない。試飲を忘れて思わず飲み込んでしまった。

4.CHAMBOLLE MUSIGNY 1ER CRU LES AMOUREUSES 2007
例年9樽ぐらい生産されるが、かなり減ったそうで僅か6樽のみ。それも2005,2006年に降った雹の影響らしい。2008年は更に減って5樽のみ生産。彼はグラン・クリュのボンヌ・マールの次に必ずこれをテイスティングさせる。格付け上では1級とはいえ、彼の中ではこの素晴らしい畑は唯一無二の存在だと考えているからだ。

5.MUSIGNY 2007
1haを所有し、2007年は16樽仕込むことが出来たそうだ。全てのキュヴェにおいて新樽比率は20%。過度な樽のニュアンスはシャンボールのエレガントな特性を壊してしまうと彼は語る。どのキュヴェも果実味と樽のニュアンスのバランスは完璧な調和を見せている。
徐々に彼のテンションが上がってきたのか、既に出荷して個人用にストックしておいた2006年のコルクも特別だよと抜いてくれた。残ったのは今日のディナーにでも飲むよと惜しげもなく。

6.CHAMBOLLE MUSIGNY 2006
7.CHAMBOLLE MUSIGNY 1er Cru LES FUEES 2006
8.MUSIGNY 2006
どれもフルーツのストラクチャーのバランスが素晴らしい。
とてもリッチで厚みがありバランスが取れている。
ポテンシャルの高さはこの年ではブルゴーニュ全体でも3本の指に入るだろう。



新たに買うとしたらどの畑を手がけてみたいとの問いに彼はもし買うのであれば自分の所有している畑を増やしたいと答えてくれた。
どんなに素晴らしい畑でもそのテロワールを理解していないとその全ての要素を自然に引き出してあげるのは難しいと考えているからだ。