1月のフランス出張のご報告です。

amz-dom-report2009-01-20


2009年1月18日 パリからTGVディジョンまで行き、レンタカーでボーヌまで。
TGVでは偶然MICHEL GROSに遭遇。隣の席だった。
ワインの世界は本当に狭い。ロンドンのテイスティング会に出展していたそうだ。
マイナス10度というあまり想像したくない寒波は先週で過ぎ去ったが、それでも氷点下。
吐く息は雲のようにはっきりと白く、凍てつくような寒さは喉をさす。道中、色々あってボーヌに着いたのは夜になっていた。
ボーヌはパリよりもっと寒い。


 翌19日 雨は昨日の夜からしとしと降り続き、空はどんよりとした重たい雲を見渡す限り張りめぐらせている。
ボーヌから車で北上すること約1時間。午前10時 今やブルゴーニュのスターダムに上り詰めた若き天才オリヴィエ・ルリッシュ氏の
Domaine de L'Arlotを訪問。
彼は相変わらずの人懐っこい笑顔と凛とした眼差しを交えながら出迎えてくれた。

11月に来日し、すっかり日本に魅了されたとうれしそうに語る彼の案内で、
ワインの眠るおよそ200年前からのカーヴへ。
まず最初はマロラクティック発酵(以下 MLF)の真っ最中の2008年を樽から試飲させてくれた。


以下、試飲アイテムとテイスティングコメントを。

1.CÔTE DE NUITS VILLAGE CLOS DE CHAPEAU 2008
これはまだMLFが始まったばかり。CO2の為、ペリエのような炭酸が舌を刺激する。
酸は当然ながら強く、それでも果実の熟度がとてもしっかりとしていた。

2.NUITS St. GEORGES 1er Cru
CLOS DE FOREST St. GEORGES 2008
まだMLFは始まっていないが、前者よりリッチなのがこの段階でもはっきりしている。
アルコール感と酸もしっかりしており、パワフルな印象。

3.NUITS St. GEORGES 1er Cru CLOS DE L'ARLOT 2008
MLFが始まったばかりで、硫黄の香りが支配的。
前者よりもっと繊細な味わいが出始めている様子。
オリヴィエの「クロ・デ・ラルロの方が複雑な味わいになる」と言う言葉が何となく分かるような気もした。
あと1年の樽熟を経てリリースされるのがとても楽しみなワイン。
3本飲み終え、彼は言葉を続けた。

「この段階ではジャーナリストにもテイスティングさせないんだ。判断のしようがないからね。
でも今日飲んでもらったのはこれがどんな形でリリースされるのかを知って欲しかったからなんだ。
2008年がどんな年に近いかって?ううん、その質問は今の段階では難しいな。」
「2008年は8月に雨が降って涼しくなり、難しい年かなって思っていたら、9月には好天が続いたんだ。
なので収穫はリスクを覚悟で遅らせたんだよ。だから収穫したのは10月間近の9月27日だったんだ。
待った甲斐があってフルーツ味を高いレベルでキープして、ジュースはとても凝縮したんだ。
その分、選別をより厳しくする必要があったけどね。
結果的に、使用した葡萄は小さい実で皮が厚いっていう良いワインを造る上での葡萄の条件を満たしていたよ。
収穫量を年度別で言うと2005年 41hl、2006年 27hl、2007年 37hl、2008年 29hl。
2007年が平均的な収穫量だから2008年はいかに選別を厳しくしたかがわかるでしょ?」