ドメーヌリポート第3弾。

amz-dom-report2009-01-18

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10.ROMANÉE St. VIVANT 2007
このワインは年産僅か3樽程度の超稀少品。それゆえかワインもかなりデリケート。
樽に入っている段階ではとても厚みがあり、力強い。
タンニンもきっちりとまとまっていて完成度の高さはさすがと言わざるを得ないが、ボトリングすると途端にクローズしてしまうそうだ。
どのワインにも言えることだが、特にこのワインはそれが顕著らしい。
棚に置いてあること自体が奇跡なので、迷わず買ってじっくりと寝かせてから飲んで欲しいと彼は笑った。

11.NUITS St. GEORGES Cuvée LA GERBOTTE BLANC 2007
クロ・デ・ラルロの若樹から造られるこのワインは酸が非常にしっかりして、フレッシュさがある。
また、ミネラル感もよく出ている。
1ヶ月前に瓶詰めしたそうだが、いわゆるボトルシックは感じられない。赤の方がなりやすいそうだ。

12.NUITS St. GEORGES 1er Cru CLOS DE L'ARLOT BLANC 2007
非常に厚みがあり、きっちりと焦点の定まったスタイル。
この年の持つ特性と本質を見極め、そのポテンシャルを余すところなく引き出すオリヴィエのすごさは白にも同様に感じられる。赤ばかりがクロ

ーズアップされているが、ラルロの白のファンは結構多い。

彼は同じビオディナミの生産者であるルフレーヴやドミニク・ラフォンとも親交があり、よく意見の交換などもしているそうだ。
もちろんビオではない昔からの友人も大勢いる。
彼は自分の役割として、彼らにビオのことを分かり易く伝えていく、言わば伝道師的なこともしている。
彼の言葉に、彼らは口を揃えて、うちの祖父やその前の時代と全く同じ造りだと言うそうだ。
1960年頃から便利ではあるが、生態系を根源から破壊してしまう農薬があっという間に広がり、その弊害と歪みは最早限界の域を超えている


近年、ワインの醸造学校ではビオは必修過程となっているそうだ。
ほんの20年前は変人扱いを受け、笑われていた農法が今やっと見直されていると言うか、やっと原点回帰している。
子供や将来の地球の為にも、少しずつでもビオが拡がっていけばいいと彼は言う。
天候が不安定なブルゴーニュでビオを実践するのは本当に骨の折れることだ。
例えば1haの畑で同じ仕事を比較すると、ビオでない畑だとわずか1時間、ビオを実践するなら何と50時間もの労力が費やされることになる。
これほど手間隙をかけて、ワイン造りに正面から真摯に取り組むことが出来るのは、富や名声の為ではなく、ただ単に安全で美味しいワインを

楽しんで欲しいという彼の人並み外れた情熱のおかげだろう。
ライトブルーと白を基調としたドメーヌの最上階にオリヴィエの自宅がある。

そこで一緒にフランスの伝統的な家庭料理のランチを頂き、ドメーヌの裏にあるシークレットガーデンを散歩して彼と別れた。