フィリップ・ルクレール〜ドメーヌ・ドゥ・ラルロ〜ジョセフ・ロティ

フィリップ・ルクレール[ジュヴレ・シャンベルタン]


10/10(水) 雨のち曇/ 8:45
朝から小雨の空模様。フランスに来て始めての雨でした。
ボーヌから車を走らせ、ジュヴレ・シャンベルタン村へ。


9:15 この日最初のドメーヌ、Domaine Philippe Leclerc (ドメーヌ・フィリップ・ルクレール)へ到着。

出迎えてくれたのは俳優顔負けの風貌を備えたフィリップ・ルクレール氏。

兄のルネ・ルクレール氏のドメーヌもすぐ近くにあります。
カーヴに入ってまず目を奪われたのが、その素晴らしさ。

彼の趣味?が高じて、カーヴなどを造る会社を自分で立ち上げたそうで、これ造ったんだよと誇らしげに語っていました。

岩盤が固く、日本のように地震が無いので、今でもコツコツと掘り進めているそうです。その途中の穴がいくつもありました。


まだ完全ではない今の段階でもそれはそれは豪華な造りです。
ラベルからも窺えるのですが、独特の趣味を持った彼のカーヴ内にはドラゴンがモチーフのような置物がセンス良く配置されていました。
完成したら是非また訪れてみたいものです。

天井の高いカーヴ内のテーブルでボトルからの試飲をしました。
まず、試験的に造った新樽10%のものと新樽20%のものを両方試させて頂きました。

[試飲アイテム]

1.Bourgogne Rouge Les Bon Batons 2005
新樽10%

2.Bourgogne Rouge Les Bon Batons 2005
新樽20%
どちらも2年間の樽熟を経て9月に瓶詰めしたもの。どちらを出荷するかはまだ検討中との事でした。我々の中で10%のものの方が、評価が高かったのですが、どちらかと言えば、私は20%の方が良かったかなと感じました。どちらが出荷されても満足の出来でした。他なら3月頃瓶詰めする所が多い中で、それより半年長く樽熟することで彼の個性が見事に現れています。

3.Chambolle Mysigny Les Babilliéres 2005
やはりしっかりとしたオークのニュアンスが感じられます。シャンボール・ミュジニーらしくないと言えばそれまでですが、彼の変わらない哲学を感じます。フルーツの凝縮感もたっぷりあるのでおいしいです。

4.Gevrey Chambertin Les Platieres 2005
シャンボールよりさらに力強いオーク。それでも酸と果実味が非常にしっかりしているので、全体的なバランスが取れているのはさすがです。

5.Gevrey Chambertin En Champs 2005
香りはとても華やか、タンニンもやわらかく溶け込んでおり、赤い果実の熟した要素もしっかりとある。余韻も長く洗練されたワインです。

6.Gevrey Chambertin 1er Cru Champeaux 2005
彼曰く、2005年は1985年のような熟成をするだろうとの事。タンニンもしっかりとしていて、果実の凝縮度も高い。現時点で一番良い印象を受けました。

7.Gevrey Chambertin 1er Cru Les Cazetier 2005
瓶詰めされてからまだ1ヶ月なので閉じているが、1、2ヶ月後には開くだろうとの事で、徐々にスムースになっていくようです。

8.Gevrey Chambertin 1er Cru Combe Aux Moine 2005
ジャムのように濃く、バランスは見事で、ポテンシャルはかなりあります。
30年は間違いなく熟成するだろうと彼は自信を持っています。

9.Gevrey Chambertin 1er Cru Combe Aux Moine 1985
俳優ショーン・コネリーが彼のワインファンらしく、お忍びでドメーヌを訪れた際に試飲したワイン。
熟成によりオークと果実味がうまく溶け込んでいて、かなり高い品質。熟成するとこんなにおいしくなるのに早く飲まれてしまう現状を彼は嘆いています。自分のワインは時代遅れなのか、と・・・。

昔、毎年買いに来る顧客たちは自宅のセラーで寝かせ、飲み頃を迎えてから飲んでいたものだが、今はそんな時代ではなくなったからと自分のスタイルを変えるべきか悩んでもいました。

市場が求めているものは若くから楽しめるソフトでモダンなスタイルを彼は自分の中にうまく取り入れようとしています。アン・シャンは彼のワインの中でも一番モダンな造りだと後で語ってくれました。
彼の造るモダンなスタイルは確かに興味はありますが、どれも同じようなスタイルばかりのワインではつまらないと感じたりもします。
両者のいいところをうまくマッチさせてくれるよう願うばかりです。
近くを訪れた際は是非このドメーヌを訪れてみてください。素晴らしいカーヴとショーン・コネリーと彼の写った大きなパネルが出迎えてくれるはずです。


ドメーヌ・ドゥ・ラルロへ[ニュイ・サン・ジョルジュ]

ジュヴレ・シャンベルタンから少し南下し、ニュイ・サン・ジョルジュへ。
11:00 Domaine de L'Arlot (ドメーヌ・ドゥ・ラルロ)を訪れると、すっかり日本で有名になった若き天才醸造家の一人、ラルロのオリヴィエ・ルリッシュ氏と偶然来ていたシモン・ビーズのパトリック氏が出迎えてくれました。

彼のワインは完璧なんだから試飲なんて必要ないだろうとパトリック氏は笑いながら帰って行きました。
実は彼の奥さんは日本人で、以前ラルロの醸造責任者だったスメ氏と共にに来日した際にアテンドしてくれた通訳の方と、めでたく結婚したそうです。中々調子のいい、気持ちのいいおやじさんでした。
小雨がぱらついていたので、一行は早速セラーの中へ。


整然と並んだ樽のすぐ脇で、気軽な感じでテイスティング

[試飲アイテム]

2006年は全て樽から。
1.Cotes de Nuits Villages Clos du Chapeau 2006
柔らかく甘い香り、口に含むとたっぷりとしたソフトでしなやかな熟度とチャーミングでありながらエレガントな液体が口の中で広がっていく。

2.Nuits St. Georges Petit Alot 2006
クロ・デ・ラルロの若樹から。本当に純粋な密度を備えたきめの細かな、焦点の定まった味わい。継ぎ目が無く、シルキーな舌触り。ソフトでタンニンも丸く、既にスタイルが出てきています。
V.VやJ.Vは法律が無いので独自に決めるそうです。ラルロでは樹齢20年ぐらいもJ.Vとしているそうです。

3.Nuits St. Georges 1er Cru Petit Plets 2006
クロ・デ・フォレに入れるにはまだまだとの事。ラルロでは畑ではなく、キュヴェで差別化しているそうです。若樹の二つのキュヴェを一緒にすることを考えた事もありましたが、キャラがそれぞれ違うのであえてしなかったようです。

4.Nuits St. Georges 1er Cru Clos de L'Arlot 2006
非常に艶やかでエレガント。柔らか味があり、良く熟した赤い果実の造る複雑な味わいはとても印象的です。ちなみにオリヴィエ氏は、このワインが一番好きだそうで、理由は繊細な面が一番あるからとの事。

5.Nuits St. Georges 1er Cru Clos des Forets St. Georges 2006
クロ・デ・ラルロよりやや酒質の強さが感じられ、タンニンもしっかりしている。
オリヴィエ氏曰く「ビオはテロワールを引き出すのに必要なことだよ。完璧な葡萄をまず作ることが大事。除草剤などの薬を使うと、土は死んでしまうんだ。微生物がいなくなった土には、肥料を与えないといけなくなり、悪循環に陥ってしまう。
確かに肥料を与えればワインは出来るが、土の持つ要素は何も無くなってしまうんだ。
ブルゴーニュのような多様性のある恵まれたテロワールを活かす事こそが、我々の大事な使命であると強く感じている。ガレージワインってあるけど、あれはテロワールなんて全くなくて、ただのテクニカルなワインなんだよね。」


6.Vosne-Romanee 1er Cru Les Suchots 2006
タンニンもしっかりとしているのに、熟度が高いのでとてもバランスのとれた印象。継ぎ目などなく、シルキーで余韻はすごく長い。とても洗練され、色合いは決して濃くは無いのに密度が高い純粋な果実がとても印象的。0.85ha。樹齢50年。

7.Romanée St. Vivant 2006
2005,2006年、共に3樽のみ生産。すでにスケール感の大きさの片鱗が現れている。存在感たっぷりで、熟度、果実味、酸度、香り立ちそのどれもが秀逸で、それが調和し始めている。
最近、オリヴィエ氏は2006年のロマネ・コンティを飲む機会に恵まれたそうです。でも、全くその良さが出ていなかったそうで、複雑な要素は確かにあるんだけどそれを全て感じ取るにはかなりの時間が必要だろうと言っていました。

8.Nuits St. Georges 1er Cru Clos des Forets St. Georges 2005
熟度、酸、果実味、質感のきめ細かさ。現時点では当然ですが、2006年より全体的なまとまりが感じられます。

9.Nuits St. Georges 1er Cru Clos des Forets St. Georges 1999

10.Nuits St. Georges Blanc Gerbotte 2006

11.Nuits St. Georges 1er Cru Clos de L'Arlot Blanc 2006
若樹から造られ、今はタンクで貯蔵。1ヵ月後瓶詰め予定。白にとって偉大な年である2006年は将来間違いなく、グレート・ヴィンテージのひとつに数えられるだろうとの事。欧米では赤より白の方がさらに人気が高いそうです。

オリヴィエ氏は「2006年の収量は非常に少なく難しい年で天候は7月非常に暑くかったが、8月になり寒くなった。9月に好天が続き、回復した。2006年で成功するかしないかは、葡萄の厳しい選別で決まるだろう。」

「白の収穫は9/18、赤は9/23に行った。全体の収量は2005年は41hl/haだったのに対し、2006年は26hl/haだったんだ。
ただでさえ少ないのに、この量じゃとてもやっていけないけど、品質を落とすことだけはしたくないからね。出さないように取っておいたバック・ヴィンテージのストックを小出しにして何とか乗り切るよ。」と爽やかな笑顔で語ってくれました。

試飲している所のすぐ横には、マールとフィーヌの90年産が樽の中で眠っていました。これもレアなアイテムです。バック・ヴィンテージと一緒に入荷できればと思います。


あまり公にはなっていない事のようですが、クロ・デ・フォレ・サン・ジョルジュにはPinot Beurot(ピノ・ブロウ)という白ワイン用の品種を混ぜているそうです。この樹は100本程度しかないので、全体の数%にも満たないのですが、これにより複雑味が増すそうです。
スーショにはこれに加え、アリゴテやシャルドネブレンドされています。将来的にはピノ・ブロウはもっと増やしたいそうです。

一見、独特のやり方のように思えますが、実は昔からある伝統的な手法のようです。
オリヴィエ氏は「昔のワインが今よりずっと複雑だったのは、手間はかかるけどこの手法を取っていたのもひとつの理由だと思うよ。
今はクローンが氾濫して、味わいが画一化されてしまっているからね。」と、語っていました。

手がけてみたい畑は?との問いに彼は「うーん、やっぱりレザムルーズかなぁ。」と答えてくれました。
彼の造る優しくて繊細な味わいは、きっとそれにマッチするはずです。いつの日かそれを飲んでみたいものです。

さてここでニュースです!オリヴィエ氏たっての希望で初来日が決まりました。予定では2008年の秋頃でしょうか。今から楽しみです。



ランチはニュイの”Chez guy and Family ”で頂きました。


ドメーヌ・ジョセフ・ロティへ[ジュヴレ・シャンベルタン]

16:00 ジュヴレ・シャンベルタン村のDomaine Joseph Roty (ドメーヌ・ジョセフ・ロティ)を訪れました。
人懐っこい笑顔で出迎えてくれたのはジョセフ・ロティ氏の長男フィリップ・ロティ氏。
ジョセフ・ロティ氏は体調を崩しているそうで、フィリップ氏が現在このドメーヌの実質的な当主でもあります。2003年からは彼の弟がサポートに加わっています。

来年の春頃に入荷予定の2005年をボトルで試飲させて頂きました。
まだどこにも出荷していないからストックは全てここにあるんだよと我が子を見るように語っていました。
日本では2005年のブルゴーニュワインは昨年6月頃から出回って、グレート・ヴィンテージを実感されていると思いますが、ロティは他よりも長く熟成させてから出荷されます。
2005年の前評判がかなり高いようで、世界中のインポーターなどがここを訪れ、そのワインに感嘆し、是非買いたいという要望が殺到しているそうですが、それら新規の問い合わせについては全て断っているそうです。

「確かにグレートな年は誰もが欲しがるよね。でもそうとは言えない年でも親父の代から継続して買ってくれている顧客がうちの財産だからね。でも安心して欲しい、どの年でもうちは一切妥協しないから。」とややはにかみながら呟いていました。

ブリュネルを見渡せるドメーヌの中のテイスティングルームで試飲しました。愛煙家の偉大なる彼の父へのオマージュ?でしょうか壁に貼られた禁煙マークが印象的でした。彼は吸わないようです。


[試飲アイテム]

1.Bourgogne Aligote 2005
ファースト・リリースのワイン。
果実の甘み、酸度とのバランスがとても良い。フィリップ氏の自宅があるコート・ド・ニュイ・ヴィラージュに畑を買ったそうで、樹齢は約40年。もしシャルドネなら、コート・ド・ニュイ・ヴィラージュを名乗るんだそうです。0.6ha。

2.Bourgogne Blanc 2005
ピノ・ブランで造られるこのワインはシャルドネより酸もしっかりとあり、シャープな印象。甘ったるさは感じず、自然な糖度ですっきりとしています。樽はそれほどかかっていないので純粋な果実を堪能できます。畑はマルサネの南の方にあり、そこは石がごろごろしているのでミネラル感に富んだワインができるそうです。

3.Marsannay Blanc 2005
シャルドネから造られ、ピノ・ブランのような丸みと重みのあるスタイルがあり、そこにシャルドネのミネラル感と引き締まった感じが綺麗に現れている。ここにはピノ・ブランも以前植えたそうですが、上手く育たなかったため、シャルドネのみ栽培されています。
「2005年、2006年はどこもいい葡萄ができたんだ。でも2004年は選別を厳しくしない生産者のワインはどれもひどいものになったと思うよ。2007年はその教訓を活かして選別を厳しくした所が多かったみたいだね。うちではどの年も妥協なんてしないんだ。難しいと言われる年でも天の恵みの長所を最大限に引き出す術を僕は親父に教えてもらっているからね。」

4.Marsannay Rose 2005
どっしりと重みもあり、より赤に近いロゼ。香りの要素もたっぷりとあり、ロゼの価値観をいい意味で変えてくれる一本。

5.Bourgogne Grands Ordinare 2005
どのワインも18ヶ月の樽熟を経て、3月に瓶詰め。ガメイをブレンドしたグラン・オルディネールが多い中で、100%ピノ・ノワールから造られる。果実味豊かで適度な重みとチャーミングさを備えたお買い得の一本。 (P.P: 87-88)

6.Bourgogne Rouge ”Cuvée de Pressonnier” 2005
1994年まではACジュヴレ・シャンベルタンを名乗る事が出来ましたが、法改正によりACブルゴーニュになりました。ジュヴレを名乗っていただけあり、他のACブルゴーニュとは全く異質のワイン。複雑味に富み、スケール感の違いは歴然。かなりのコストパフォーマンスを持っています。(P.P: 88-89)

7.Marsannay Rouge 2005
2005年特有の熟度とエキス分がつまった造りでとても洗練されたものです。

8.Marsannay ”QUARTIER” 2005
法律の関係で名義はフィリップ・ロティとなっています。深いルビーで、ブラックベリーやチョコやモカ、十分な鉄分とスミレが印象的。赤く熟したフルーツの熟度が高く、酸もしっかりとしています。また若いながらタンニンの角を感じさせないしなやかさがすでに感じられます。石灰の多い土壌で継ぎ目のない果実味とミネラル感で樹齢は50年。(P.P: 89-90, IWC: 87-90)

9.Marsannay ”Champs St. Etienne” 2005
修道院が所有していた畑で西暦680年からある地名。斜面にあり、マルサネ村とクーシェ村の間に位置する。鉄分をふんだんに含んだ土壌で、3つの村に跨っているので、同じマルサネでも異なるワインが造られます。十分にエキスが溶け込んだルビーレッド。ブラックベリーと甘草のきいた香り。スケール感と豊富で十分な芳香が印象的。(P.P: 89-90, IWC: 88-91)

10.Marsannay ”En Ouzelois” 2005
樹齢90年、僅か0.5haから造られる。前出の二つの区画と違い、平らで石が多い土地。深みのあるルビー色。ブラックベリー、スミレ、甘草やスパイスの風味。タンニン、酸ともにしっかりと重みのあるスタイル。熟成によってその真価を発揮するタイプ。(P.P: 88-89, IWC: 89-91)

11.Marsannay ”Boivin” 2005
斜面に位置し、石灰質の土壌でスレート状の石がある。ミディアム・ルビー。花やブラックチェリー、オーク、黒い果物、甘草やスミレの芳香の中になスパイシーな風味を備えています。焦点がきっちりと定まっていているが、エキス分がやや強いので熟成させるかグラスで開かせてからの方がより複雑味が出ると感じました。(P.P: 89-90, IWC: 88-90)

12.Marsannay ”Clos de Jeu” 2005
傾斜と傾斜の間にある階段の踊り場のような場所に位置。昔、騎士の決闘の場所に使われていたそうです。1939年植樹のこの畑は石灰質の土壌で20cmぐらいしか土がないため、ミネラル感に富んだワインが出来ます。より深いルビー・レッド。ブラックベリーと香辛料が主体のしっかりとした芳香。熟して重みのあるベリーと甘草、スミレの芳香。タンニンと酸はしなやかで甘みがあります。(P.P: 91-92, IWC: 88-91)

13.Cotes de Nuits Villages 2005
ファースト・ヴィンテージのワイン。0.17haを所有し、樹齢は45年。ニシンのシッポと呼ばれる区画でジュヴレ・シャンベルタン ボーションとフィクサン ペリエールの間に位置します。彼曰く「自宅の窓の下にある畑だから一番コントロールできるんだよ。」 (P.P: 89-90)

14.Gevrey Chambertin 2005
これもファースト・リリース。意外ですが、ACジュヴレはこれまでありませんでした。質の良い畑を新しく購入したそうです。完成度の高さはさすがです。

15.Gevrey Chambertin ”Cuvée de Champs Chenys”2005
シャルム・シャンベルタンのすぐ下に位置する畑。ルビーレッドでブラックベリーとジューシーな肉を思わせる風味。甘みのあるタンニンや酸、スパイシーさはとても均整が取れており、洗練された甘みを備えています。樹齢は30年から70年。(P.P: 89-90, IWC: 89-91)

16.Gevrey Chambertin ”Cuvée de Champs Chenys V.V”2005
1934年植樹の区画。名義はフィリップ・ロティ。きらめきを持った明るいミディアム・ルビー。アクセントの甘草とスパイス、キルシュのような複雑味ある芳香。スケール感があり、焦点がしっかりと定まっています。力強く、エキス分が程よく濃縮されたようなニュアンス。(P.P: 92-93, IWC: 89-92)

17.Gevrey Chambertin ”Cuvée de Clos Prieur Ba”2005
明るいミディアム・ルビー。とても密度の高い熟したブラックチェリー。柔らかく、スケール感があり、豊富な果実、スパイスとスミレ深い風 味で十分に成熟した果実味。香り立ちが良く、適度に熟したタンニンとしっかりとした余韻。(P.P: 89-90, IWC: 89-92)

18.Gevrey Chambertin ”Cuvée de La Brunelle”2005
ドメーヌのすぐ裏にある区画。試飲もこの畑を眺めながら行いました。明るいルビー色。芳香で満たされブラックベリー、ミネラル、甘草で構成。きめの細かい、熟したブラックベリーの丸み、スミレの要素。村名ワインですが、非常に構成のしっかりしたタンニンや酸とのバランスは秀逸。(P.P: 89-91, IWC: 90-93)

19.Gevrey Chambertin 1er Cru ”Les Fontenys” 2005
泉という意を持つ区画。高い石の塀などがあり、それらが太陽の熱を受けるため、葡萄が良く熟すそうです。リュショットやマジと隣接している恵まれた畑。深いミディアム・ルビーで花やブラックチェリーと甘草のニュアンスがある。現時点ではやや閉じ気味ですがこのクラスでは抜群にスケール感があります。(P.P: 94-95)

20. Mazy-Chambertin
樹齢87年。2樽(約600本)のみしか造られない希少なワイン。明るいルビーレッドでブラックベリー、野性味溢れる香り、土の要素も含まれます。焦点が定まった果実と、モカや花の複雑な風味。程よく肥えており、筋肉質でもあります。長い余韻はとても印象的で、うっとりとする素晴らしい構成。(P.P: 95-96, IWC: 92-95)

21. Griottes-Chambertin
明るいルビーレッド。ブラックチェリー、甘草や胡椒の風味が綺麗に現れています。Mazyより同等かやや小柄な印象。香りの要素はより多い。野生味があり、ブラックベリーラズベリー、ココアなどの要素が上手く溶け込んだ風味。余韻も長く洗練された質の高いワイン。(P.P: 94-96, IWC: 92-95)

22.Charmes-Chambertin ”Tres Vieilles Vignes”
1885年植樹という奇跡的な樹から造られる葡萄は様々な要素を含んだワインに仕上がるそうです。約0.75haを所有し、10樽のみ造られます。とても深いルビーレッドで、ブラックベリー、甘草、ブラックペッパーやその他様々な香辛料。豊富なタンニンと酸が見事に調和した傑作。スワリングする度に、新しい顔を見せてくれます。身震いするほど良く出来たワイン。(P.P: 97-98, IWC: 95-98)


夜は”La Cabotte "で食事しました。スタイリッシュな感じの店内で料理も洗練されていました。若いシェフがやっていて同世代のワイン醸造家との繋がりも深いようです。ワインリストを見るのも楽しかったです。